胸部X線写真正面像(図2)    胸膜プラーク、白線にて図示


胸部CT像(図3)



胸部CT像、胸膜プラークは黒線で図示(図4)


  【石綿曝露による呼吸器病変】

アスベスト曝露による呼吸器病変は@石綿肺A胸膜プラーク、 B肺癌,C悪性胸膜中皮腫D良性胸膜中皮腫などがある。
石綿曝露が高濃度の場合には石綿肺、低濃度の場合は胸膜プラークが10 年以上の潜伏期間をへて発生する。肺癌、悪性胸膜中皮腫はその発生はさ らに10年以上の経過を要する。
石綿肺は塵肺症であり、病理組織はびまん性間質性肺線維症である。 胸膜プラークは壁側胸膜の局所性胸膜肥厚で あり、通常生体に何等の障害も及さないが、石綿曝露の既往を示すもので あり、悪性腫瘍発生の可能性を秘めている。
肺癌発生は重喫煙と重なると発生頻度が高いと言われている。 胸膜中皮腫は胸膜、腹膜、心膜、精巣鞘 膜などから発生するが、胸膜が最も多い。悪性胸膜中皮腫は肺癌より低濃 度の石綿暴露で発症し潜伏期間は肺癌より長い。予後不良である。
良性胸膜中皮腫では、肺癌や悪性胸膜中皮腫に比して潜伏期間は短く、約半数は 無自覚である。胸水は1年以内に消退するが胸膜癒着を残す。


ドクター・内山の胸部読影講座-7へ戻る。

MAIL:sainaika@uinet.or.jp