10月9日(土曜日)開催の『臨床栄養研究会』報告。
教育講演『ファイトケミカルズの食理作用』帝京大学、山崎政利教授
特別講演『糖の流れ』と栄養学」順天堂大学、河盛隆造教授
が開催された。あいにく季節はずれの台風22号が首都圏を直撃し、まさに午後6時頃はさいたま市上空を通過して、猛烈な雨と風に襲われた。そのため、出
席を中止した先生が多かったのは止もう得ない事で、出席は昨年の半分の50余名に留まった。
しかし、上記2つの講演は、きわめて示唆に富むすばらしい内容で吹き荒れる台風を吹き飛ばしてしまい、聴衆一同、深い感銘を受け十分に満足して帰途につ
いた次第である。
山崎教授は、従来のビタミンに関する栄養学的考え、すなわち含量、生理的機能だけの栄養学から、例えばバナナが持つ免疫機能をはじめとする生体機能改善
作用などを重視する立場を重視し、我々の身体、精神機能にもおよぼす植物性食品、野菜、果物の持つ潜在機能を日常生活に積極的に取り入れていく事を強調
された。
また河盛教授は先生の独檀場である、食後高血糖を中心とした「糖の流れ」をさらに演繹し、メタボリックシンドロムへ至る過程について詳しく話を進められ
た。河盛先生の何時もながらの明快かつ流麗な語り口からのメタボリックシンドロームへ到る解説は誠にお見事でまさに研究の持つ魅力そのもの雰囲気が伝わ
り我々聴衆一同を完全に虜にした。
これは単に外国の文献を通りいっぺんに解説するだけの講演と異なり、長年の食後高血糖を中心とした幅と深みを増した研究成果が説得力を持っているせいで
ある。まさに頭が下がる思いである。
講演会後、両教授を囲んで情報交換会が開かれ、両講師を囲んで1時間近くも真摯な討論が続いた事は誠に喜ばしいことである。

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