第7回
埼玉県内科医会・埼玉県総合内科専門医会 合同カンファレンス
IgG4関連硬化性疾患 膵臓の部
さいたま赤十字病院 消化器内科 大島 忠
自己免疫性膵炎(AIP)は、IgG4関連硬化性疾患の端緒となった疾患であり、画像診断では膵腫大と特徴的な主膵管狭細像を呈し、病理学的には リンパ球・形質細胞の浸潤を伴う著明な線維化(lymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis;LPSP)を特徴とする。高齢男性に多く、症状として、腹痛は無いか軽度で急性膵炎症状をみることは少なく、肝機能異常や黄疸での受診が多い。腹部エコーは最初に試みられるべき検査で、典型像として、膵はソーセージ様の腫大と称されるぼってりとした腫大を示し、エコー輝度は真っ黒に見えるほど低下している。時に辺縁にcapsule like rimといわれるAIPに特異的な、さらに低エコーの縁取りがみられる。IgG4関連硬化性胆管炎を合併していれば、胆管拡張をみる。また、後腹膜線維症の合併も多く水腎がみられる。少しでも疑えば血清IgG4の測定が有用である。
早期にステロイド治療を開始すれば、膵内外分泌機能ばかりか、黄疸や水腎も可逆的であり、膵の腫大、黄疸や水腎をみた際にはAIPも念頭において診断をすすめる必要がある。
また、しばしば膵癌との鑑別が問題となるが、FDG-PETでの鑑別は困難であり、膵の針生検による癌の除外も大切である。
p.s. スライドに典型的なAIP画像を呈示させていただいております。是非アクセスしていただき、日々の診療の参考にしていただけましたら幸いです。